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判例ニュース

婚姻費用
一旦夫婦で決めた婚姻費用の分担額を減額できる場合(夫が妻以外の女性との間に子どもを設けた事例)
解説した弁護士
澤田 有紀
判例

婚姻費用の分担額を定めた調停後に、妻ではない女性との間に子が出生した場合、婚姻費用の分担額の減額を求めることはできるのでしょうか。今回は、名古屋高裁平成28年2月19日決定を紹介します。

1 本件事例は次のような内容です。(一部簡略化しています。)
本件の夫と妻は結婚し、二人の子どもが生まれましたが、夫は、妻と同居していた頃から不貞行為をし、これによって妻は心療内科に通うようになりました。平成21年に夫婦は別居することになり、同年、家庭裁判所において、別居期間中の婚姻費用を合意する調停が成立しました。
しかし、平成22年に、夫は、妻ではない女性との間に子どもをもうけ、認知しました。さらに、平成26年、夫は、別の女性との間に双子をもうけ、認知しました。
夫は、妻に対し、三人の子どもの養育の必要を理由に、婚姻費用の減額を求める申立てをしました。

2 第1審
第1審は、夫が妻と同居中から不貞行為をし、これによって妻が心身の不調を訴えたにもかかわらず、前期不貞行為の相手とは別の女性と不貞行為をして子をもうけ、さらにその後交際した女性との間にも子をもうけたことを踏まえ、三人の子どもへの扶養義務を果たすために妻への婚姻費用の減額を認めることは、夫の不貞行為を助長・追認するも同然であるとして、夫の申立てを却下しました。

3 本決定(第2審)
本決定は、夫が、婚姻費用を定めた調停よりも後に出生した三人の子どもを認知し、その扶養義務を負うことになったのであるから、夫の扶養義務を負う未成年者の数に変更が生じたと認められるので、婚姻費用の負担額の減額が認められるべき事情の変更があったと判断し、夫の申立てを認めました。
また、婚外子の存在を考慮することが信義則に反するとの妻の主張については、婚外子についても等しく扶養を受ける権利を有するとして、認めませんでした。

どういうこと?

夫婦が別居する際には、協議又は審判によって婚姻費用の分担額を定めますが、その後に「事情の変更」があった場合には、一旦定めた婚姻費用の分担額の減額が認められます。
この「事情の変更」というのは、協議又は審判の際に考慮され、あるいはその前提とされた事情に変更が生じた場合をいいます。つまり、協議又は審判の際に既に存在し、判明していた事情や、当事者が当然に予想しえた事情が現実になっただけの場合には、「事情の変更」があったとはいえません。
今回のケースは、婚姻費用の分担額を定めた時点においては、夫と妻以外の女性との間に子どもはいませんでした。そのため、その後に、子どもが出生したことは、「事情の変更」に該当するのです。この点について、例えば、婚姻費用の分担額を定めた時点において、既に夫が、妻以外の女性が妊娠していることを知っていたような場合には、結論は変わってくると考えられます。
第1審と第2審とは、婚姻関係を破たんさせたのが夫の不貞行為であるにもかかわらず、夫と不貞行為の相手方との間に子どもができた場合に、妻とその子どもを扶養するために支払われる婚姻費用を減らすことが、信義に反し認められないのではないか、という点の判断で結論を異にしたのです。

判例に学ぶポイント
婚姻費用の分担額は、協議や審判の際に存在する事情をもとに定めることになります。そのため、その時点でわかっている事情や予想できる事情を十分に考慮した上で決めていくことが大切になります。
また、別居中に、婚外子が出生したようなケースにおいて、婚姻費用の分担額を減額することは、信義に反して不適当なようにも思えます。しかし、生まれてきた子ども自身には何ら落ち度はなく、自らの親から扶養を受ける権利有しているという観点からすれば、婚姻費用の分担額を減額し、新たに出生した子どもの養育費を捻出することは必要であると考えられるのです。

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