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判例ニュース

親権者
親権者変更の必要性は、親権者を指定した経緯、その後の事情の変更の有無と共に、当事者双方の監護能力、監護の安定性等を具体的に考慮して、最終的には子の利益のための必要性の有無という観点から決せられるべきものとした事例(福岡高裁平成27年1月30日決定)
解説した弁護士
小川 弘恵
判例

1 事例
本件判例の事例は次のようなものでした(一部簡略化しています。)
夫Aと妻Bは、平成20年に結婚し、平成21年に長男、平成22年に長女をもうけました。
平成23年から、Bは夜間、飲食店等でアルバイトするようになり、週に2、3回以上朝帰りするようになりました。また、平成25年、Bは、アルバイト先の男性チーフと不倫関係になりました。
AとBは、平成25年に未成年者らの親権者をBと定めて協議離婚しました。
AとBは、お互いに親権を主張し協議していましたが、最終的に、Aの母親がBに対し、Bの住居や昼の仕事が決まり生活が安定するまでは自分が未成年者らを監護すると申し出、Bがこれを承諾したので、親権者をBとした上で離婚することになったのです。
離婚後、未成年者らは、Aの両親と暮らしながら幼稚園にも通い、安定した生活を送っていました。Aもなるべく両親宅で過ごし、未成年者らの世話をしていました。
Bは、幼稚園の誕生日会を欠席し、また懇親会への参加を求める電話にも出なかったので、誕生日会や懇親会にはAが出席しました。また、Bは、自分が支払うことになっていた保育料を支払わないので、Aがこれを支払っていました。
平成26年、Aは、親権者変更の調停を申し立て、審判手続きに移行しました。
2 第1審
第1審は、親権者を変更するためには、親権者指定後の事情の変更を要するとし、本件では、親権者指定後の事情の変更が認められないとしてAの申立てを却下しました。
3 第2審(本件判例)
第2審は、親権者の変更の必要性は、親権者を指定した経緯、その後の事情の変更の有無とともに当事者双方の監護能力、監護の安定性等を具体的に考慮して、最終的には子の利益のための必要性(民法819条6項)の有無という観点から決せられるべきものと判示しました。
その上で、本件は、①未成年者らは平成25年以降、親権者であるBではなくA及びその両親に監護養育され、安定した生活を送っており、このような監護の実態と親権の所在を一致させる必要があること、②婚姻生活中において、Bは、未成年者らの食事の世話はしていたものの、夜間のアルバイトをしていたこともあって、入浴や就寝はAが行っており、またその間の幼稚園の欠席日数も少なくないこと、③Bは幼稚園の行事への参加に消極的であり、また、親権者であるにもかかわらず保育料の支払いも行っていないこと、④Bには監護補助者がおらず、監護養育に不安があること、⑤未成年者らの親権者がBとされた経緯をみても、必ずしもBの監護能力を認めて親権者が指定されたわけではないこと、⑥Bが、養育に手の掛かる幼児がいながら不貞行為を行っており、未成年者に対する監護意思ないし監護適格を疑わせるものであることから、未成年者らが若年で母性の存在が必要であること、Bが昼の定職に就くことが決まったことを考慮しても、親権者をBからAに変更することが必要であると判断しました。
本件判決は、親権者の指定の変更には、親権者指定後の事情の変更が必要であるとの主張に対しては、事情の変更が考慮要素とされるのは、そのような変更がないにもかかわらず親権者の変更を認めることは子の利益に反することがあり得るからであって、あくまで考慮要素の1つとして理解すべきと判示しました。

どういうこと?

民法819条6項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる」と規定し、親権者変更が認められる場合を「子の利益のために必要があると認められるとき」としています。
では、親権者の指定の変更には、親権者指定後の事情の変更が必要なのでしょうか。本件ではこの点で第1審と第2審の判断が分かれました。
たしかに、特段の事情の変更もないのに、親権者の変更という法的地位の変動を認めてしまうことは、法的安定性を害するので適当でないとも考えられます。
しかし、親権者の指定の変更を認めるかどうかは、あくまでも「子の利益」の観点から判断されるべきですので、具体的な事案に応じてその必要性を判断していくことになるでしょう。

判例に学ぶポイント
第1審と同様の判断をする審判例も多いですが、「子の利益」の観点からは、必ずしも親権者指定後の事情変更の有無のみで決すべきではないと考えられます。
実際の裁判においては、「子の利益」の観点からきめ細やかな主張が必要なってくるでしょう。

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