弁護士澤田有紀です。弁護士になって18年目ですので弁護士としても,数多くの離婚のご相談をうけてきましたが,平成23年から平成27年までの4年間,大阪家庭裁判所で非常勤裁判官として,数百件もの離婚調停に立ち会ってきました。
その中で感じたのは,離婚調停を申し立てるのは,男性からか女性からかといえば,圧倒的に女性から申し立てる方が多いということです。
小さい子供がいる場合には,女性が親権者になる例が大半であり,養育費などを請求するにあたって,当事者間の話し合いよりも裁判所を介することのメリットが女性には大きいこと,子供ができた後は愛情の対象はもっぱら子供となり,夫への関心が薄れ,その結果,夫婦間の関係が悪化して,離婚に至るというパターンも多くありましたが,こういう場合も,離婚の請求は妻からの方が多いようです。
実際に、妻から離婚調停を申し立てられる場合でも、離婚すること自体には双方とも合意しているケースがほとんどで、家裁での話し合いのポイントは、「親権・養育費・面会交流について」など子どもに関すること、財産分与や慰謝料(解決金)などお金の問題になります。
30代の夫婦だと、分与すべき財産もあまりなく、双方まだこれから働いて経済的な基盤をつくれるので、メインは子どもに関する問題となります。養育費については算定表をベースに話し合いをすすめることになるのですが、養育費の終期を20歳までとするのか大学卒業までとするのか、学費はどうするのかなど個別の話になることも多いです。一般的に、こどもの年齢が中学生以上になって本人に進学意欲があることや親の学歴などの家庭環境から大学に行くことが暗黙の了解になっているような場合だと大学またはこれに準ずる高等教育機関卒業までというように決めることが多いです。ただ、養育費を払う側からすれば、そんな先のことまで決めてしまうことに抵抗感がある場合もあり、20歳までとしたうえで、進学などの特別の出費がある場合は別途協議するなどの条項をいれることもあります。
50代前後の夫婦の場合は、子育てもほぼ一段落し、これからの熟年の生活を考えて別々の人生を歩みたいということで離婚になるケースが多いのですが、この場合は、「財産分与」が争点となります。
どちらが夫婦の財産を管理しているのかにより状況はさまざまですが、妻が管理していた場合、夫の言い分としては「給料を全部渡していたのに、これだけしか残っていないのはおかしい」となり、これまでの年間の収支を全部書き出せと主張してくることもあります。家計簿をきっちりつけているならともかく、そういうのは少数派で、1記憶に基づいて、過去にさかのぼって収支をかきだしてもたいていの場合「納得できない」となってしまいます。こういう場合、どうなるのかというと、隠してあるはずだということをいくらいっても、よほどの大金でない限り、通常のサラリーマンの稼ぎであれば、「貯金はこれだけしかない」といわれてしまえばそれまでとなってしまうのが実情です。