新型コロナウィルスにより,この1~2か月で社会情勢は大きく変わってしまいました。不要不急の外出を自粛するようになり,仕事も在宅勤務(テレワーク)への切り替えが進んでいます。また,子どもは自宅待機となった結果,親も自宅で過ごさざるを得ない時間が増えました。
このような状況で「不倫」は減っているのではないか?というゴシップ記事も見られるようになりました。確かに,仕事にかこつけた外出や,子どもが不在になることもなくなったため,「不倫する機会」が減ったという見方はありそうです。一方で,現在,ホテル業界は空前の不景気状況に陥っていますが,テレワーク需要に着目した日中の利用プランを実施して打開しようとする動きもあり,これが不倫の現場に活用されているのではないか?という記事も見かけました。
さて,ここまでは非常に下世話な話となってしまいましたが,ここからが本題です。配偶者が不倫をしていることが疑われる場合,探偵に依頼すべきかどうかを悩まれる方がおられます。最終的にはケースバイケースですし,ご自身のご判断になりますが,以下の点を考慮していただくようアドバイスさせていただくことが多いです。
★得られる利益と支出との兼ね合い
探偵に依頼すると調査費用がかかります。依頼する会社や,動員する人員・日程によってピンキリですが,内容により,その後の弁護士費用よりも高額な事案も多い印象です。
他方で,いざ不倫が立証できたとして,どれだけ慰謝料請求ができるのかという問題があります。不貞の慰謝料も事案によって様々ですが,ボリュームゾーンとしては100~200万円の程度に収まる事案が多いです。
そうすると,探偵費用をかけて,不貞の慰謝料を請求しても,金銭的には大きなメリットがない(事案によっては赤字)ということもあり得ます。
★他の証拠を確保できないか
ご相談に来られる方の中には,探偵を使わずとも,一定不貞の証拠を得ている方もおられます。一番多いのは,メールやLINEのやり取りです。単なるやり取りだけでは「不貞関係」にあったかどうかがわかりませんが,性交渉等をうかがわせるやり取りが残っている例もあり,これは有力な証拠になります(ただし,メールのログインなど不正アクセスによる確認はお勧めできません。)。
また,このようなメールを補強する証拠として,ホテルなどのクレジットカードの明細や,車のナビの案内履歴等が組み合わさると有効です。ちなみに数は少ないですが,ご自身で尾行して,ホテルの出口などで写真を撮った方もおられます。
以上を踏まえると,探偵を頼むメリットがある方としては,①ご自身での証拠確保は難しいが,②探偵を安く頼み,確実に証拠を取る可能性が極めて高い(探偵費用が損や赤字にならない)と言える場合が挙げられると思います。
この「②探偵を安く頼み,確実に証拠をとる」ためには,不貞がなされるであろう日や時間帯,場所,予想される行動経路を予め特定し,調査を依頼する時間や人員を限定することが重要です。
そこで冒頭に述べた昨今の状況です。現状の社会情勢では,外出のタイミングや,外出先が限定される状況になってきています。もしかすると,上記②を満たしやすい状態と言える状況の方もおられるかもしれません。
もちろん,他方で,探偵に依頼するために外出することの良し悪しもありますし,そもそも不倫が減っているのであれば「外出時に調査してみたが不倫ではなかった」という見当違いもあるでしょう。あくまで最終的にはご自身の判断で,メリットとリスクを勘案してご判断いただくようにお願いしています。
弁護士 大畑亮祐