離婚にあたって,離婚協議書を公正証書にすることをお勧めするのは,どうしてか。どういう場合に公正証書にした方がいいのかについてまとめたいと思います。
まず,公正証書にすることのメリットとしては,
1)将来にお金をやり取りする約束がある場合に,不履行になった際に強制執行ができる
2)合意した内容について争いを防止できる(そんな約束はしていないとは言わせない)
ということです。
1)については,「執行認諾文言」というのを公正証書に入れることにより,養育費の支払いや,財産分与や慰謝料などを分割金で受け取ったり,たとえば退職金が入った時に精算する約束をするなど将来にお金の支払が発生する約束をした場合に,もし約束通りの支払がない場合には,公正証書をもとに,差し押さえなどの強制執行ができるようになります。
もし,公正証書にしていなければ,私文書の離婚協議書に約束事項を明記して双方署名していたとしてもすぐには強制執行はできず,裁判をして約束があったということを裁判所に認定してもらい,判決で支払いを命じてもらってから強制執行をすることになるので,かなりの手間と時間がかかることになります。
2)については,たとえば,「これ以上お互いに何も請求しません」という条件で離婚したとして,やっぱりあとからお金を請求したくなった場合,公正証書で「これ以上お互い何も請求しません」ということが書いてあったら,後日の紛争を防止できますが,単に,私文書で書いてあっただけなら,「そんな約束していない」とか「真意ではない」などという反論を許すことになります。
このように,将来にお金を払う約束がある場合とか,終局的に確定させたいという場合には,公正証書にしておくことにメリットがあります。
このほか,年金分割の合意をした場合には,年金事務所に合意した事実を届け出るためには,公正証書にする必要があります。
公正証書は公証役場で作成してもらうのですが,事前に公証人と打ち合わせをして,条項を確定させてから,当事者が揃って公証役場に行く必要があります。当事務所では,公正証書の作成をお手伝いしています。
相手と合意を形成する段階から,随時アドバイスをさせていただきながら,離婚協議書の条項について,最適な条項をご提案します。また公証役場とのやりとりも取次ぎしますので,依頼者に余分なストレスはありません。また,当事者が揃って公証役場に行きたくないという場合は,代理人として代行することも可能です。