Bさんと夫は結婚当初、周囲もうらやむほど仲の良い夫婦でした。ところが、子どもが生まれてしばらく経った頃から、少しずつ2人の気持ちがすれ違うようになってしまいました。子育てが始まって生活のスタイルが変わることで、お互いにこれまで見えていなかった部分が気になりはじめ、性格の不一致を強く意識するようになりました。そして、結婚からおよそ4年が経過した頃、お互いに「これ以上は婚姻関係を継続することはできない」という結論に達し、話し合いのうえで離婚することに決めました。
Bさんと夫は離婚することに決めたものの、夫からBさんに提示された財産分与の金額が少なかったことが大きな問題となりました。財産分与に関する話し合いを重ねても、お互いが納得できる落としどころが見つからず、裁判所で離婚調停の手続きを試みました。それでも溝が埋まることはなく、ついにはBさんは夫から裁判を起こされてしまいました。そこで、Bさんも適切な対応を取りたいと考え、当事務所にお越しになりました。
訴訟では、やはり「財産分与の金額をいくらにすべきか?」が大きな問題になりました。夫は、「結婚してからの貯蓄額等は多くない」として、Bさんへの財産分与について100万円の提示をしてきました。当事務所の弁護士は、「貯蓄額が大きくないのは、夫が株で大損したことが原因である」として、財産分与額は500万円が相当であると主張しました。お互いの主張は平行線をたどりましたが、最終的には双方が譲歩するかたちを取り、財産分与の金額を300万円とすることで離婚の合意に至りました。
Bさんと夫は、2人とも離婚すること自体には合意していましたが、財産分与等で折り合えない状態となっていました。上記のようにBさんは「500万円」、夫は「100万円」と、財産分与の金額の主張について、大きな隔たりがありました。しかし、双方とも離婚に合意し、早期の離婚を希望していたことから、夫は財産分与の提示を引き上げ、Bさんも一定の譲歩をすることで離婚が成立しました。
今回のケースでは、夫が株取引で大損をしていることもあって、判決に至ることでより高額の財産分与額を得られる可能性もありました。しかし、判決に至るまでにはさらに半年程度の期間が必要となり、控訴となると第一審判決からさらに半年程度の期間が必要になると考えられたことや、早期離婚というBさんの希望もあり、本人尋問前に和解となりました。
Bさんと夫は、お互いに早期の離婚を希望しながら、財産分与額で折り合えないため、訴訟に至りました。Bさんは調停の段階では、ご自身で手続きをして弁護士を付けていませんでしたが、訴訟に至ったことから、当事務所にご相談にお越しになりました。当初、双方の主張の隔たりは大きいものでしたが、訴訟において当方の主張と立証を行うことで、夫側からの譲歩を引き出すことができ、和解に至りました。
このケースのように、離婚では訴訟に至ることもあります。訴訟では結論が出るまで長い時間が必要になりますが、それでも判決に至るまでに和解することで、ある程度は早期に解決することも可能です。訴訟に至った場合は、ご自身で手続きを進めるのは困難と思われますので、弁護士にご相談いただければと思います。