家庭裁判所に調停を申し立てるといっても,離婚を求めるための「離婚調停」だけではありません。夫婦間がうまくいっていないけれども,なんとかうまくいくように調整してほしいという趣旨で「円満調整調停」というのもあります。家裁での実務上の感覚としては数は少ないですが・・・
一方が離婚したいと主張しても,一方が離婚したくないと言えば,離婚調停は成立しません。
反対に,一方が仲良くしたいといっても,一方が元に戻れませんと言えば,円満調整調停も成立しません。
ただ,一方が離婚したいと主張しても,よくよく話を聞いてみると,もう一度やり直してもいいという気持ちになることもあり,そうなると調停のスタートが「離婚調停」でも円満調整の調書ができることもあります。
家裁の調停官をしていたときに円満調整の調書をつくったことが何件がありますが,最初別居しているケースであれば,調停中に同居になり,その後調停条項をつくることになることが多いのですが,生活の上での約束事を縷々箇条書きにしたりして,法律的な文書とはちょっといえない感じになってしまいます。
円満調整が成立しない場合は,不成立となって終わるか,婚姻費用についてだけ取り決めをして終わるか,ということになります。
決定的な離婚原因(浮気とか暴力とか)がなく,相手が離婚に同意しない場合には,とりあえず,別居という事実状態を継続して,もう元に戻ることはないというを示すしかなく,そのためには何年もの時間がかかります。
焦らず,将来のことを考え,どうするのがお互いのために一番いいのか,じっくり考える時間が必要ということなのでしょう。(弁護士澤田有紀)