令和元年11月12日、最高裁判所の司法研修所が、現在より受取額を増額する方向で、養育費算定表の新たな基準を策定する方針を固めたと発表しました。
養育費算定表とは、離婚に際し、親権者となった親が、親権者とならなかった親から受け取る子供の養育費の算定にあたり、夫婦の収入、子どもの年齢や人数に応じて、機械的に月額の養育費を算出することができる算定表です。現在、家庭裁判所ではこの算定表で産出される金額をもとに、その他の事情を考慮しつつ養育費を決めています。
ただ、この算定表は、2003年4月に裁判官らが法律雑誌に公表したもので、かなり以前のものですから、現在の税制や社会保険料の改正などの生活状況を反映しておらず、生活を維持するには不十分であり、母子家庭の貧困の原因になっているなどの声もあがっていました。2016年11月15日には、日本弁護士連合会が、「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」として、あらたな算定表を作成・発表するなど、算定表改訂に向けて意見が出されていたところです。
来月23日に詳細が発表される算定表は、現在使用されている算定表より金額が上がる方針とのことですので、今、まさに養育費の協議をされている当事者の方、これから協議に入られる方は、ぜひ注目していただきたいと思います。(弁護士 小川 弘恵)