離婚にあたって,よく出てくる用語です。
離婚に際してやりとりするお金の名目には,「慰謝料」「財産分与」「養育費」というのもありますが,「解決金」という名目もあります。
「慰謝料」というと,不貞とか暴力とか,何か悪いことをして,結婚が破たんしたときに,原因を作った方が相手方にそれについて謝罪する趣旨のお金ということになりますし,「財産分与」というと夫婦で築いた財産を離婚に際して分けるという趣旨です。「養育費」は親権を得なかった親が,実際に養育する親に対して子供の生活費などを払うという趣旨です。
それでは,「解決金」というのはどういう意味かというと,お金の趣旨をはっきりとさせないで,「とりあえず,これで別れることを了承してください」という趣旨のお金ということになります。
調停や協議離婚でも弁護士が関与する場合の離婚条項には,「解決金」が頻出してきます。離婚にあたっての話し合いで,それぞれ言い分はあるけれども,どっちが悪いとかいうあたりはグレーにして,早期解決のために,名目についてははっきりせずに,お互い実をとるという知恵です。
たとえば,妻が夫の暴力や不貞(疑い)などで傷ついて,結婚生活が破たんしたとしても,夫の言い分としては,いろいろと妻の態度に不満があり自分だけが一方的に悪いとは思っていない場合など,妻の今後の生活の援助金としての意味も込めて,慰謝料ではないけれど,一定のお金を払って,お互い納得して話し合いにより離婚成立というときに,「解決金」という言葉であればお金を払うほうも受け入れやすいのです。
妻にしてみても,財産分与として請求できる金額に加えて,お金が上乗せされるのであれば,名目についてはこだわらないということはよくあります。こうして,「解決金」という名目のお金がやりとりされるわけです。
また,離婚にあたって,どちらが悪いというわけでもないということを双方が認識している場合でも,離婚が成立するまで夫が婚姻費用を払い続けるよりは,早期解決のために,2年分相当額の婚姻費用を解決金として払うので,現時点で離婚に応じてほしいという場合も,解決金が登場します。
家裁の調停の現場では,上記のような趣旨で解決金という言葉をよく利用しました。