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夫が家を出て別居に至る場合、夫名義の住宅に妻子が居住し、住宅ローンは夫が負担しているということがよくあります。この場合、夫は、婚姻費用に住宅ローンの支払い分を含めることができるのでしょうか。
東京家庭裁判所平成27年6月17日審判(「家庭の法と裁判」2016年7月号84頁)の事例をご紹介します。(実際の事案を一部簡略化しております)
1 本件事案の概要を時系列でまとめると次のとおりです。
平成8年 結婚
平成9年 長女誕生
平成13年 長男誕生
平成15年 夫が単独で住宅ローンを組んで自宅を購入
平成24年 別居(夫が家を出て賃貸アパートに居住)
平成25年 妻が離婚調停申し立て
平成26年 妻が婚姻費用分担調停を申し立て、離婚・婚姻費用調停のいずれも
不成立→審判手続開始
2 夫婦の年収、子供の年齢、住宅ローンの弁済額は次のとおりです。
平成26年の夫の年収 763万円 妻の年収 199万円
審判時の子どもの年齢 長女17歳 長男13歳
夫が負担する住宅ローンの弁済額 月額67000円 ボーナス月34万円
3 裁判所の判断(要約)
夫が別居後に妻が居住する自宅に係る住宅ローンを全額負担していた事情を考慮して、「算定表から導かれる標準的な婚姻費用分担金額」から、「妻の年間収入に対応する標準的な居住関係費」を控除して婚姻費用分担の金額を決するのが相当である。
算定表から導かれる標準的な金額 =月額14万円・・・①
統計から年収199万円に対応する住居関係費 =月額27,940円・・・②
婚姻費用(①-②) =月額11万円
「算定表」とは、夫と妻の年収から養育費や婚姻費用の「標準額」を簡単に導くことができる一覧表で、全国の家庭裁判所等で幅広く利用されています。
この審判においても、「算定表」により婚姻費用分担金を算定するのが合理的かつ当事者の意向に沿うとして、当事者双方の総収入を「算定表」にあてはめ、標準的な婚姻費用分担金を算出しています。そのうえで、妻子が生活していた自宅の住宅ローン全額を夫が負担していた事情を考慮して、「妻の年間収入に対応する標準的な住居関係費を控除する」のが相当であると判断しました。
「標準的な住居関係費」をどのように算定するかについて、いくつかの考え方がありますが、この審判においては、妻の年収を基準に「家計調査年報」から認定しました。
このケースにおいて、夫は月額67,000円、ボーナス月は34万円の住宅ローンの弁済をしておりますが、婚姻費用分担額の算定において控除されたのは3万円弱にすぎません。