協議離婚の話し合いがまとまらず、調停離婚や審判離婚も不成立。それでもどうしても離婚したいとなると、残された手段は裁判です。
日本で裁判離婚をするのは、わずか1〜2%程度です。裁判は精神的な殴り合いとも言われ、精神的にも、経済的にも、負担の大きさは想像以上です。ですので、弁護士に相談されることをお薦めします。
裁判離婚って? |
家庭裁判所に離婚の訴えをし、お二人が「原告」と「被告」の立場で争うことになります。離婚の決定は当事者であるお二人ではなく、裁判官にゆだねることになり、離婚を認める判決が出れば、一方が納得していなくても、離婚が成立します。
実際は、判決が下る前に和解勧告に応じて離婚する場合が多いのが特徴です。
離婚の請求と一緒に、慰謝料、財産分与などの金銭問題、未成年のお子さんがいる場合は、親権者の指定や養育費の請求も行うことになります。
法律で定められた離婚原因が必要です |
協議離婚や調停離婚では、離婚原因に制限はありませんでしたが、裁判離婚では、民法が定めている「法定離婚原因」が必要です。原則として、有責配偶者(不倫などの不法行為をした側)からの離婚請求は認められません。
証明する証拠が必要です |
相手方(被告)に「法定離婚原因」があっても、離婚をしたい方(原告)が、そのことを主張して立証し、家庭裁判所に認めてもらわなければ、裁判に勝てません。そのためには、裁判官に、「確かに離婚原因がある」と確信してもらえる証拠を提出する必要があります。裁判を起こす前に、証拠を「持っている」か「集められる」かよく考えて決断しなければなりませんし、場合によっては、探偵や調査会社を利用することになります。
裁判離婚が利用されるのはどんな場合? |
調停で離婚の合意ができなかった場合以外に、離婚することは合意しているけれど、
<財産分与や親権などの離婚条件でもめている>
<相手方の主張する離婚原因ではなく、自分の主張する離婚原因で離婚を求めたい>
などの場合にも、裁判を起こすことがあります。
手続きと流れ |
ほぼ1ヶ月に1回のペースで裁判が開かれます。
争点が詰められて、ある程度の証拠が出揃った段階で、証人や「原告」「被告」自身が法廷に出頭して「尋問」となります。
裁判所が必要と認めるときは、どの段階でも(尋問前や尋問後が多い)、和解案を示して、和解を勧告することがあります。勧告に応じるか応じないかは自由ですが、裁判所の和解勧告は重要な意味を持ちますので、慎重に検討する必要があります。
お互いが和解案に合意すれば、和解調書が作成されて離婚が成立し、裁判は終了します。
「被告」が行方不明の場合はどうなるの? |
「公示送達」といって、裁判所の掲示板に所定の書類を掲示すると、期日呼出状などを被告に送ったことにできます。掲示板に公開してから2週間たてば、被告への送達完了となります。口頭弁論に「被告」が現れることはまずなく、送達完了になります。その後、裁判所による証拠調べを経て、終結判決がでます。ただし、「原告」の言い分に間違いないことが前提なので、判決の前に証拠調べが行われることになります。
離婚裁判は弁護士に依頼することをお勧めします |
離婚訴訟を起こす場合、訴状作成の段階から、法律の専門知識が必要となり、素人には困難です。裁判を有利に進めるためにも、できるだけ早い時期から弁護士に依頼するほうがよいでしょう。
裁判になると、書面の提出、証拠の申出などすべての手続きは、民事訴訟法の定めるところに従わなければなりません。判決を得るためには、離婚原因の事実は、訴えを起こした方で証明しなければなりませんし、主張するだけではだめで、立証する必要があります。
弁護士は、裁判所に依頼者の代理人として出頭します。弁護士が出頭していれば、依頼者は、和解の話し合いをするときや、証拠調べ(尋問)のとき以外は、裁判所に出頭しなくてもかまいません。
離婚裁判は、調停を経ないとできません。
離婚の「法的原因」が必要です。
訴訟の申立から判決までは最低1年近くかかります。長期化する可能性もありますので、精神的にも経済的にも覚悟が必要です。
弁護士の助けが不可欠です。