親が離婚すると、子どもの氏(名字)や戸籍はどう変わるのでしょう?感じやすい年頃のお子さんをお持ちなら、学校生活に関わってくる氏の変更は大いに気になるところですし、親権者の戸籍の移動がどう影響するのかも心配ですね。
しかし実際のところは、親が離婚して父母のどちらが親権者になっても、子どもの氏や戸籍は元のままなのです。
自動的に親権者の戸籍に入ることはありません |
夫婦は結婚するときにどちらかの氏で戸籍を作り、元々その氏だった者が戸籍の筆頭者になります。離婚すると、筆頭者と子どもが戸籍に残り、筆頭者でなかった方が除籍されます。親権者が除籍になっても、特に手続きをしなければ、子どもは筆頭者の戸籍に残ったままですし、氏もそのままになります。
では、除籍後の親権者が子どもを自分の籍に入れる方法は? |
除籍された母(父)は、旧姓に戻るか、婚姻中の氏を使うかを決めます。
結婚時の氏を使い続けるには、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を出す必要があるのでご注意ください。
選んだ氏で、新しく自分の戸籍を作ります。
旧姓に戻った母(父)も、自分の親の戸籍には戻らず、新しい戸籍を作らなければなりません。というのは、戸籍法により、ひとつの戸籍には親子二代しか入れないことになっているため、子どもは、おじいちゃんの戸籍に入れないからです。
親子の氏が違うと同じ籍に入れないので、子どもの氏を変更します。
家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を出して申請し、許可が出れば役所に子どもの入籍届を出します。
結婚中の氏を使うなら、お子さんの氏の変更は必要ないと思われるかもしれませんが、例えば同じ“安倍”でも、法律上、母(父)の新しい戸籍上の“安倍”に変更する手続きが必要になります。
子どもは自分で氏を選べない? |
・お子さんが15歳以上の場合
自分で判断をして両親のどちらの氏を名乗るか、決めることができます。両親のどちらが親権者でも、お子さん自身が家庭裁判所に「氏の変更の申立」をすることができます。
・お子さんが15歳未満の場合
変更する場合は、法定代理人=親権者が子を代理して、家庭裁判所に「氏の変更の申立」をしますが、学齢期になっているお子さんなら、本人の希望も聞いた上で決定すべきでしょう。親権者以外はこの手続きはできません。裁判所から許可が出たら、役所にお子さんの入籍届を提出することで、変更した氏になります。
手続き代行のサービスを利用すると安心です |
離婚が決まり、お子さんを連れて家を出るとなると、引っ越し準備や公的手続きが大変です。手続きによっては期限が切られているものもあり、お子さんがスムーズに新しい生活を始められるように、役所や裁判所への届出、申請、請求等のうち煩雑なものは、行政書士等の専門家に依頼するという選択も可能です。離婚手続きを弁護士に依頼されているなら、併せて相談しておかれるといいでしょう。
離婚後のお子さんの氏や戸籍は、変更してもしなくてもかまいません。手続きをしなければ、離婚前のままです。
お子さんにとって氏が変わることは大問題です。大人の事情が原因で、学校生活や友達との人間関係にも支障をきたすことのないよう、お子さんにとって最善の策を講じてあげましょう。
ややこしい手続きは弁護士など法律の専門家に依頼すれば安心です。