モラルハラスメント(略してモラハラ)とは、言葉や態度で相手の心や尊厳を継続的に傷つけて追い詰める、精神的暴力のことです。“ハラスメント”には、嫌がらせ、いじめの意味があるので、シンプルに精神的いじめ、と言った方が、いじめによる自殺が頻発している昨今、その罪深さを実感していただけるかもしれません。
職場の問題として話題になることが多いのですが、ここ数年、離婚原因としても急増しています。
モラハラと精神的DVの違いは? |
明確な線引きはむずかしいのですが、DVを行う夫(妻)は多少なりともやましい気持を持っているのに対し、モラハラの場合は「自分は世間の常識で考えて正しいことを言っている」と思って行動するので、相手を傷つけているという自覚が無い場合が多いのです。それに引きずられる様に、モラハラを受ける側も、自分はダメな人間だと巧妙に思い込まされてしまい、自分が被害者だと気付かず、周囲にも理解されないまま短時間で精神的に追い詰められて行きます。
モラハラが続くと、倦怠感、不眠などの機能障害を経て、胃潰瘍、大腸炎、目まい、皮膚病などの心身症の発症へとすすみ、慢性的な抑うつ状態から、自殺に追い込まれる可能性もあります。モラハラの提唱者であるフランスの精神科医マリー=F・イルゴイエンヌ氏は、モラハラを「精神的な殺人」と表現しています。
具体的にどんなことをされるのでしょう |
二言目には「養ってやっている」と言ったり、ため息や舌打ちで日常的に不満をほのめかすのは、モラハラ行為です。その他の例をいくつかあげると
一見些細な言動でも、それが繰り返され持続されることで、被害者の精神は大変傷付けられます。また、モラハラの加害者は、一見良い人である場合が多いので、被害の実際が周囲に理解されにくいという問題もあります。
自分は被害者と気付いて行動を起こしましょう |
夫婦間のモラハラは表に出にくく、まだまだ問題の深刻さが社会的に認識されていません。早い段階で一度、モラハラに詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。(別居費用の請求などについても相談できます)
証拠集めが大切です |
モラハラが法定離婚原因として認められるには、あまりにもその程度がひどく、有力かつ婚姻を継続しがたい事由としての証拠(相談記録、医師によるうつの診断書、日記・録音等)が必要です。しかし、モラハラは証拠がつかみにくく、調停委員にさえ、わがままと誤解される事が往々にしてあります。医師やカウンセラー、公的機関への相談記録は、有力な証拠になるので、きちんと残しておきましょう。大変でしょうが、日記をつけたり、録音をして、被害を記録することも有効です。
モラハラは、最悪の場合自殺に至る、精神的暴力=いじめです。
自分は被害者だと気付いて、早急に加害者から離れましょう。
別居期間が長いなど、既に、夫婦関係が破綻している場合や、何らかの原因で家族の社会生活が困難な状況に陥っている場合は、「法定離婚原因」に該当しなくても、裁判離婚が成立する場合があります。
暴力による傷の診断書や写真は有力な証拠になります。