Aさんと妻は、些細なことで夫婦喧嘩になることが多く、結婚から15年が経ってから別居することになりました。別居からしばらくして、妻が「Aさんとの同居中に暴力を受け、耳が不自由になった」として、離婚の請求と同時に1,000万円の慰謝料を請求してきました。ところが、Aさんとしては、妻が主張するような暴力を振るった覚えはなく、同居していた頃にも、妻の耳が不自由になっている様子はありませんでした。
Aさんには、妻が主張するような酷い暴力の記憶がなく、妻の耳が不自由になっているという話も信じることができませんでした。しかし、妻に真偽を確認しようにも、妻はAさんに対して離婚調停を申し立てており、話し合いもままならない状況でした。そこでAさんは、妻の主張に対して適切な対応を取るために、当事務所の離婚相談を利用されました。
当事務所では、Aさんから詳しく事情を聞き取ったうえで、妻の耳が不自由になるような暴力がなかったことを、調停の場で主張していくことにしました。
当事務所の弁護士は妻の主張に対して、妻の通院履歴やAさんから伺ったお話に基づいて、ひとつずつ反論を行いました。その結果、妻は「Aさんの暴力がもとで、耳が不自由になった」との主張を断念しました。
離婚をするということについては、Aさん自身も合意されたため、最終的な「離婚に伴う解決金」として、Aさんが妻に150万円を支払うことで調停離婚が成立しました。
「Aさんの暴力が原因で、耳が不自由になった」との妻の主張に対して、弁護士は「通院履歴の矛盾点」や「日常生活の様子」などをもとに、「Aさんは妻の耳が不自由になるような暴力を行っていない」ことをていねいに主張しました。その結果、調停委員は当事務所の弁護士の主張が合理的であるとの印象を持ってくれました。
このケースでは、離婚することについては双方が合意しており、Aさんは早い解決を希望されていました。そこで、妻側に、当初予定の1/8の解決金で承諾させることができ、早期の離婚へつなげることができました。
離婚に伴う慰謝料については、そもそも「このような場合は○○円」といった規程がないことから、過剰に請求されることも多々あります。このような中、請求されている慰謝料が妥当なものなのかを検討することなく、離婚を急ぐあまり相手の言いなりになって支払ってしまうというケースもあるようです。しかし、慰謝料にも「妥当な金額」は存在します。慰謝料を請求する場合でも、請求される場合でも、「どの程度が妥当か?」ということを念頭に置いて交渉することが、早期の解決につながると思われます。慰謝料について迷われているのでしたら、ぜひ、弁護士に相談されることをおすすめします。