男の子二人でやんちゃ盛りとはいえ、子供に対して叩くなどして厳しく躾ける妻の教育方針に不満を持っていたYさん。一方、妻もYさんに「口ばかりで何もしてくれない」と不満を持っており、以前から子育てを巡って夫婦間でケンカになることがたびたびありました。ある日、いつものように子育てが原因で口論になり、カッとなったYさんはつい手が出てしまいました。妻には「もし次にまた同じことがあったら離婚するから」と言われ、反省したYさんでしたが、数年後、再びケンカ中に妻を叩いてしまいました。そして、子供を連れて実家に戻った妻から「離婚したい」という連絡が入りました。
妻から「子供は私が引き取る、養育費としてこれだけの金額が欲しい、財産分与として子育てに必要なので車は欲しい、妻を叩いたことの慰謝料としてこれだけの金額が欲しい」など、離婚したいという希望とともに、ある程度具体的な提案がありました。
夫のYさんは離婚そのものも含め、妻の要望に応じていいものか悩み、弁護士に相談することを決めました。
弁護士はYさんから事情を聞き取り、妻から出された要望を整理しました。その結果、妻の要求している養育費は双方の収入などと照らし合わせても妥当な金額であり、また、Yさんが妻を叩いてしまった件は本来慰謝料が発生しないレベルの事案でしたが、その財産分与全体として考えるとそれほどおかしな金額ではないということがわかりました。
その結果、まずは当事者同士で冷静に話し合い、弁護士はバックアップということで方針が固まりました。Yさんは妻の要望を受け入れる代わりに、定期的に子供に会うこと(面会交流)や子供の状況について連絡を取り合うことなど、今後の子供との関わり合い方を離婚協議書に盛り込んでもらえるよう妻と話し合いました。
最終的には二人の間でうまく話がまとまり、離婚協議書を弁護士が作成して離婚が成立しました。
最初は妻の要望内容が自分にとって無茶な要求なのか、それとも妥当なのかわからず困っていたYさんでしたが、弁護士に相談することで客観的に情報を整理することができ、冷静さを取り戻すことができました。
そして、妻の要望が妥当なものであると整理できた結果、弁護士が前に出て交渉すべき事案なのか、当事者同士で話し合って解決できる事案なのかについても検討することができ、適切な判断をすることができました。
離婚後に後悔しないためには離婚協議の際に漏れなくお互いの希望を伝え合い、合意内容を離婚協議書というかたちで残しておくことがベストです。当事者だけで話し合いをすると、伝え忘れてしまったり、そのときには思いつかなかった要望が後から出たりして、離婚後に再びトラブルに発展するケースが多々あります。今回は弁護士が離婚協議書を作成することで、妻の要望だけでなくYさんが希望する子供との関わり方についても確実に協議書に残すことができました。
離婚問題で弁護士に依頼すると離婚調停など大ごとになる印象を持っておられる方もいますが、実際にはご相談内容に応じて、弁護士が交渉代理もしくは調停の申し立てなど弁護士が表立って動いた方がいいのか、交渉や話合いは当事者同士で進めていただき,適宜相談に応じるバックアップのような立場で関わった方がいいのかということも含めてしっかり検討したうえで方針を立てさせていただいております。今回のように,話し合いがまとまるまではバックアップに徹し,離婚協議書の作成をする際にご依頼をうけることもあります。
「こんなことを弁護士に相談するのはどうかな」と思わずに早い段階でご相談いただけると、考え方が整理できたり今後の進め方がわかったりするので、気軽にご相談いただければと思います。当事務所にはアドバイスプランなど、弁護士が表に立たないプランもありますのでお気軽にご利用ください。