大阪で生まれ育ったAさんは、結婚を機に、夫の勤務地である東京に移り住み、Aさんも東京で就職しました。Aさんの夫は結婚当初から束縛やモラハラがひどい上、最低限の生活費さえ渡してくれないのに、浪費していると叱りつけるような吝嗇家でした。そんな中、2人目の子どもを出産したAさんは、とうとう我慢も限界を超え、別居を決意。子ども2人を連れて、逃げるようにして大阪の実家へ戻りました。
実家に戻り、離婚を決めたAさんですが、東京と大阪では離れすぎている上、モラハラ夫から逃げて来た経緯から、夫との直接交渉は考えられませんでした。しかし、ほぼ着の身着のままで出て来たので、自宅には取り戻したい物がたくさん残っている上、互いに連絡する必要のある事が色々あったことから、Aさんは当事務所の弁護士に相談することにしました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、すぐに夫へ受任通知を送りました。夫の方は最初、自身で対応していましたが、やはり弁護士に依頼し、弁護士が双方の代理人となって交渉を続けることになりました。
協議を進めて行く中では、主張が対立し、調停・審判を申し立てる方向に進みかけた時期もありましたが、早期解決のためにどうすべきかを、弁護士間でとことん議論した結果、裁判所を利用することなく公正証書の作成に至り、協議離婚が成立しました。
双方が代理人を立てたことで、Aさんは、夫や夫側の弁護士とやり取りする精神的負担や労力から解放されました。必要な連絡のやり取りもスムーズになり、不安に思う点やわからないことは弁護士に心おきなく質問できたので、Aさんは気分的にずいぶん楽になりました。何より、弁護士は、依頼者の代理人として、感情的にならず、法律に基づいた視点で、徹底的に相手方と交渉しますから、遠距離でかつ話し合いの内容も多岐に渡ったこの離婚問題も、わずか6ヶ月という短期間で解決することができました。
夫の母(子ども達の祖母)が設定した「教育資金贈与信託」(祖父母等が孫に対する教育資金を信託することで最大1,500万円が非課税になる)が争点の1つになりました。夫側は、これがあれば養育費は十分まかなえるとして、養育費の支払いを拒否。支払う場合は、信託の相当額を返却するよう主張してきました。
しかし、当事務所の弁護士が、「教育資金贈与信託」の有無は養育費に影響を及ぼさないことを理論的に説明した結果、夫もこれを承諾し、「教育資金贈与信託」は今後Aさんが管理していくことを認め、これとは別に、養育費として毎月6万円を支払うことを約束しました。
協議離婚は当事者同士で話し合って決めるもの、と思っていらっしゃる方も多いようです。しかし実は協議離婚こそ、法律の専門家である弁護士が代理人になって動くメリットがあるのです。当事者同士では、どうしても感情的になりがちですし、法律的に正しいか間違っているかもわからないまま、離婚条件という、今後の生活に大きく影響する事柄を決めていくことになるからです。
弁護士は、依頼者が有利な条件で離婚できるよう、専門的知識を活用して、常にベストの解決を目指します。協議離婚だからと思わず、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。