Eさんと夫が結婚してから17年。結婚当初から、Eさんは夫からの度重なるモラハラに苦しんできました。Eさんは、夫から理由もなく怒鳴られたり、ちょっとした失敗をすると馬鹿にされるといったモラハラ行為を受けてきました。夫はモラハラを起こす人のパターン通り、今までの行動を反省し、同情を誘うような言動をしたかと思えば、急に豹変し「なぜこんなに謝っているのに、お前は受け入れてくれないのだ」などと逆ギレする始末…。
次第に子どもたちも夫を怖がるようになっていたこともあり、Eさんは離婚を決意しました。
離婚を決意したEさんは、両家の親族を交えて話し合いをすることにしたものの、話し合いの場でも夫の態度が変わることはありませんでした。Eさんは、親族の前でもいつも通りに夫から罵詈雑言を浴びせられ、離婚の交渉をすること自体に精神的な負担を感じるようになり、やがて体調を崩してしまいました。このままでは、夫と話し合いを進めることは難しいと判断したEさんは、離婚の交渉を当事務所の弁護士に依頼することにしました。
Eさんからの依頼を受けた弁護士は、夫と離婚の交渉を開始しました。当初、夫はEさんとの離婚を頑なに拒否していましたが、裁判所での離婚調停を嫌がり、最終的には話し合いでの離婚に応じました。その後、夫は財産分与で争う構えを見せましたが、Eさんは「子どもの養育費」を確保することと、早期の新生活の開始を最優先事項としていたため、弁護士はその方向で夫と離婚条件について交渉し、公正証書の作成に漕ぎ着けました。
当初は思うように進まなかった離婚の話し合いでしたが、弁護士に依頼することで、約3か月で問題を解決させ、Eさんとお子様は安心して新たな生活を歩み始めることができました。
Eさんは、夫との交渉を弁護士に一任したことによって、夫と連絡を取り合うことがなくなり、精神的な安定を取り戻されました。ご依頼前のEさんは、夫からの暴言や、理由や根拠もなく突きつけられる離婚条件の内容に憔悴されていましたが、ご依頼後は「夫との交渉」という大きな負担が軽減したことで、少しづつ体調も回復されていったようです。
Eさんは、弁護士への相談時に、夫との話し合いの際に録音した音声や、夫からのメール、精神科のカウンセリングの受診記録など、夫のモラハラの証拠を持参されました。
モラハラで「婚姻を継続しがたい重大な理由」を立証することは大変です。しかしながら、弁護士の視点で見たところ、少なくとも離婚調停に至った場合に、「調停をスムーズに進められるだけの資料」が揃っていると感じられました。
結果的に調停をすることはありませんでしたが、Eさんが先の見通しをもって準備されていた数々の証拠は、夫との交渉・協議に役立つものとなりました。
今回のケースがスピード解決に至ったのは、Eさんが夫との交渉によって得る「最優先事項」を絞ったことと、Eさんの夫も早期解決の方針に応じたことが大きく影響しています。しかし、早期解決と言っても、必要な離婚後の生活保障のすべてを、そう簡単に手放すわけにはいきません。離婚後の養育費については、弁護士が粘り強く夫と交渉を重ね、支払いの取り決めを公正証書に記載することができました。離婚条件を公正証書で残しておくと、養育費の支払いが滞った場合には、強制執行による差し押さえが容易になります。
夫婦間のモラハラを原因とする離婚では、そもそも相手の暴言などにより、当事者同士では離婚の協議をうまく進められないケースが多々あります。弁護士に依頼された場合には、弁護士が依頼者に代わって離婚の交渉をすることができますから、その間、離婚協議に関する精神的な負担を軽減できます。モラハラの加害者は、配偶者に対し、自分があたかも法律に詳しいかのように振る舞うこともよくありますが、弁護士であれば根拠のない理屈に言いくるめられることもないので、その点でも安心です。相手からのモラハラによって、離婚の協議が思うように進められないと感じておられる方は、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。