自営業で普段は人当たりの良い夫ですが、妻にはやや高圧的なところがあり、怒らせると手を上げられることもありました。もう一緒にいられないと、妻のAさんは何度か離婚を申し出ましたが、夫は取り合ってくれませんでした。離婚したいという気持ちが本気であることをわかってもらいたくてAさんは家を出て、実家のある東京へと戻りました。しかし、やはり夫は「離婚はしない」の一点張りで、別居生活も4年目に突入。「このままではいけない!」とAさんはより一層、離婚への意思を固めるのでした。
Aさんは、ひとりで考えていても仕方がないと判断し、「みお」の弁護士に相談することにしました。できるだけ自分でどうにかしたいというAさんに、弁護士は「電話やメールが無理なら、手紙を書いてみたらどうか。それで無理なら第三者を入れた方が早く進みますよ」とアドバイス。Aさんはその言葉に従って夫に手紙を書きましたが、数か月経っても音沙汰がありません。自分の力だけでは到底離婚してもらえないとあきらめて、Aさんはいよいよ弁護士に依頼して離婚手続きを進めることにしました。
Aさんから夫の対応を詳しく聞いていた弁護士は協議では無理と判断し、調停を申し立てました。すでに別居から5年近く経ち、離婚訴訟を起こしても離婚が認められる可能性が高い見通しだったため、夫側もそれを意識したのか、調停を始めてすぐに離婚には同意してくれました。Aさんとしては、夫は自営業で成果を上げており、それなりの財産もあるという目算のもと、財産分与とモラハラの慰謝料を請求したいところでしたが、夫側からは「成功しているように見えても先行投資があり、ローンもあるので、Aさんが思っているような蓄えはない」と反論。離婚条件については多少揉めましたが、最終的には離婚した後も養うという「扶養としての財産分与」として、約700万円を毎月分割で9年間かけて支払ってもらうというかたちで合意しました。
これまで取り合ってくれなかった夫でしたが、弁護士から受任通知、調停の申し立ての連絡が届いたことで態度が一変しました。「弁護士に依頼した」という事実だけで対応が変わることは離婚事案に限らず、珍しいことではありません。第三者の介入、法的手続きを取ることで、停滞していたものを動かす可能性があります。さらに今回のケースでは、すでに別居生活も長く、仮に夫が離婚に応じないとなっても裁判で離婚が認められる可能性が高かったため、調停でもAさん側の代理人として有利に進めることができました。
今回のケースのように別居期間が長くなってくると、相手が離婚を拒否していても、裁判で離婚が認められる見込みが高くなってきます。実際に訴訟を起こさなくても、「法的にはこうなるので離婚を認めた方がいいですよ」と有利に話を進めることができるので、なかなか離婚に応じてくれないという場合は弁護士に相談されることをおすすめします。
また、今回は京都で結婚されていましたが、依頼人は故郷である東京に戻られていました。遠方で家庭裁判所や協議の場に足を運ぶのはむずかしいという場合も、弁護士ならすべて代理人となって活動することができますので、お任せいただけます。相手側と顔を合わせずに離婚したいという場合にも弁護士がお役に立ちますので、ぜひご相談ください。