Kさんは海外で仕事をしている期間が長く、一年のうち、ほとんど日本にいません。そのため、妻や子供とは一緒に過ごす機会が少なく、家族といっても名ばかりの状態が長らく続いていました。
それまでも離婚は薄々考えていましたが、子供が成人するのをきっかけにいよいよ真剣に離婚について進める覚悟ができました。しかし、いざ協議を始めてみると、Kさんは海外生活で時差もあり、日本に住む妻とじっくり話し合う時間が取れません。なかなか前進しない離婚協議に歯がゆさを感じるKさんでした。
自分ひとりで妻と離婚協議を進めていくことに限界を感じたKさんは弁護士に相談することにしました。Kさんは赴任先の海外に戻り、弁護士が代理人となって妻と協議の内容を詰めていくことになりました。第三者が介入することで「言った、言わない」のトラブルが起きないよう、弁護士と妻とのやり取りも文章で行うことに。Kさんからはある程度話はまとまっていると聞いていましたが、離婚条件を一つひとつ確認していくと時間の経過による心変わりや双方の認識違いもあり、簡単には終わりませんでした。
現在妻が住んでいる日本の住宅は、Kさんの名義のまま、しばらくの間妻が住み続けることでKさんも納得していましたが、固定資産税やマンションの管理費・共益費の負担など、離婚協議には細かいすり合わせが必要です。
弁護士が入って調整してくなかで明らかになっていくことが多々あり、弁護士はその都度、Kさんと妻にそれぞれ確認し、根気よく進めていきました。
これまで生活を共にしてきた二人が別々の道を進んでいくには、その間に二人で培った財産や今後について、じっくり話し合うことが不可欠です。しかし、Kさんのように海外在住であったり多忙な場合は、二人だけで協議を進めていくのは大変な労力です。弁護士が間に入ることで、Kさんは日常生活に専念しながら協議を進めていくことができました。
また、弁護士がチェックをすることで、双方の認識の食い違いや確認漏れの事項を見直すことができ、離婚後に揉めることのない離婚協議書を作成することができました。
協議離婚はただでさえ、感情と財産を含めた金銭的な問題が絡むためにこじれやすく、当事者同士でスムーズに協議を進めていくのは大変なことだと思います。今回のケースのように忙しさや物理的な距離もあるとならば、なおさらです。丸投げとはいきませんが、弁護士に依頼することで感情的な対立や手続きの煩わしさなどからは解放されます。スムーズに離婚したい、相手との話し合いに疲れたという場合には、冷静に協議を進めために第三者を入れるのが望ましいです。