少し前にKさんは、妻と反りが合わなくなって離婚をしました。子供は一人いましたが協議離婚で妻が親権を獲得。しばらく何もなかったのですが、久しぶりに元妻から連絡がきて「離婚してから子供が生まれたから嫡出否認をしてほしい」と言われました。離婚から300日以内に出産した子供は元夫との間に生まれた子供と推定されるため、違う場合には元夫が否認しなければならないのだそうです。これまで性格の不一致で別れたと思っていたKさんでしたが、元妻の話を聞いて、実際の離婚理由は妻の浮気だったことに気づきました。
性格の不一致で離婚したと思っていたら、実際は妻の浮気と妊娠が原因だったことを知り、Kさんは打ちひしがれました。協議離婚で自分の子供の親権も元妻に渡しており、財産分与も公平に分けましたが、それもすべて離婚原因がお互いにあると思っていたからです。離婚する前に聞かされていても許せないものが、こんなかたちで発覚して、我慢できるわけがありません。Kさんはやり場のない自分の気持ちをどうにか元妻に償ってほしいと思い、弁護士に相談することにしました。
本音としては自分の子供の親権を返してほしいところでしたが、Kさんの仕事や生活状況では育児はできないため、子供の親権の獲得はあきらめました。ただ、不貞行為に対しては到底許せるものではなく、元妻や浮気相手に対してなんらかのかたちで謝罪をしてほしいというのがKさんの希望でした。そこで、元妻はお金がないことは明確だったため、浮気相手に対して慰謝料請求をすることにしました。弁護士から内容証明郵便を送りましたが相手が支払いを拒否したため訴訟を申し立て、こちらの主張が全面的に認められました。
事実が発覚した当初は落ち込んで何も手につかなかったKさんでしたが、弁護士と一緒に状況や考えを紐解いていくことで感情に任せることなく冷静になることができました。客観的にできること、できないこと、したほうがいいこと、しないほうがいいことを洗い出し、そこからKさんにとってベストな解決方法を選択することができました。実際に慰謝料請求も通ったことでKさんは自分の中で区切りをつけることができ、「今度こそ前を向いて進めるようになった」とすっきりした様子でした。
パートナーが不倫を隠して離婚を切り出すことは、実はよくあるケースです。真実を知らないまま離婚して、後から発覚すると「こんなことなら離婚しなかった」「あんな条件は飲まなかった」と言いようのない後悔に襲われます。なかには時効があるものもありますので、離婚後に「あれはなかったことにしたい」と言っても無理なこともあります。そのため、疑心暗鬼になりすぎるのもよくありませんが、パートナーから離婚を切り出されたときは、不倫の可能性を探ってみることは必要かもしれません。そして、何か離婚につながるようなことが発見された場合には、離婚をする前に、一度、早い段階で弁護士にご相談されることをおすすめします。