子ども2人も独立して、2人きりになったYさん夫婦。特別不仲というわけではありませんでしたが、昔から不機嫌なことがあると物に当たる夫に対して妻のYさんは時折恐怖を感じ、夫婦ながら一線を引いて付き合おうと暮らしていました。そんな折、長男がうつ病を患い、実家に帰ってきたことで夫の態度が悪化。息子に対して目に余る態度や器物破損、怖い文言が入ったメールを送ってくるなど、不穏当な言動が目立ち、このまま一緒に暮らしていことはむずかしいと離婚を決意しました。しかし、その思いを暴力的な夫に直接告げる勇気はなく、Yさんは思い悩みました。
離婚について調べていたところ、「みお」のホームページが目に止まり、弁護士に相談してみることにしました。夫からのメールや普段の行動を聞いた弁護士は、まずは夫に知られることなく別居することを提案しました。DVが悪化した場合、さらなる事件が起きないとも限らないので、居場所を知られることのないよう配慮したうえで弁護士が代理人となって離婚調停を進めることになりました。弁護士から受任の通知と調停の知らせを受けた夫は「DVなどしていない」「夫婦仲も悪くない」とYさんの主張を全面的に否定し、離婚することにも反対でした。
「離婚したくない」、「そもそも夫婦仲は円満で離婚する理由がない」と言う夫と、離婚したいYさんとで意見が対立。弁護士は調停では解決しないと判断し、訴訟を提起しました。しかし、離婚原因となる夫のDVを立証するにはやや証拠が乏しく、夫は変わらず離婚は認めないの一点張りで、平行線のまま時間が過ぎていくばかりでした。別居期間がもうすぐ2年が経とうとするところで、裁判官からも「過去の経緯はともかく、別居期間も長くなってきた。Yさんにも収入があり、子どもも自立していることも踏まえ、この後さらにとことん争うとなると、婚姻関係を続けるのはむずかしいのではないか」と和解を提案され、夫も渋々納得することに。退職間近であったことから夫の退職金や夫名義の住宅について、財産分与に関する話し合いでもひと悶着ありましたが、最終的には住宅を売却したお金を半分に分けるということで合意に至りました。相談から解決まで2年半と少々時間はかかりましたが、無事離婚することができました。
DVやモラハラが原因の場合、「離婚したい」という気持ちを直接伝えることさえむずかしいものです。特に相手が離婚したくない場合は伝えたところで取り合ってもらえず、当事者同士で協議を進めるのは困難です。弁護士に依頼すると、相手との交渉はすべて弁護士が代理人となって行うため、離婚が成立するまで顔を合わせることもないため安心して離婚の交渉に臨むことができます。2年半という時間はかかりましたが、早い段階で弁護士に相談したことでYさん自身にも実家に戻っていた長男にも危害が及ぶことなく、無事離婚することができてよかったと喜んでおられました。
相手に不穏当な言動があり、離婚をお考えの場合は、お早めに弁護士に相談することをおすすめします。今回のケースは、同居中に「離婚を考えている」という段階でご相談に来られたため、安全に離婚を進めるためのアドバイスをさせていただくことができました。まず身の安全を確保するために引っ越しをして、それから弁護士の受任通知を送ることで、相手に引越し先を知られることなく離婚の交渉を行うことができます。もちろん、弁護士が代理活動を行うので、相手と顔を合わせることもありませんので、安心して普段どおりの生活を送ることができます。当事者同士で協議を進めるのはむずかしいと感じたら、ぜひ弁護士にご相談ください。